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一般財団法人たんぽぽの家

“常任理事 岡部太郎さんインタビュー”

コミュニティーアートセンターとしての機能も備え、新しい取り組みにも積極的な奈良市の市民団体、たんぽぽの家。ここでは現在、障害のある人の仕事と伝統工芸の融合を目指すプロジェクトが進行している。「NEW TRADITIONAL」とはどんなプロジェクトだろう?

今回の“障害のある人の表現と伝統工芸の相互発展を目指す”という「NEW TRADITIONAL」とはどんなプロジェクトでしょう?

「NEW TRADITIONAL」は、障害のある人とともに伝統工芸を通して新しいものづくりのありかたや、それらが息づく生活文化を提案するプロジェクトです。もともと障害のある人の手仕事の価値を高めたり、地域に根ざしたものづくりをもっと発信できないか?と考えていたことがきっかけです。2013年から実施しているGood Job!プロジェクトでは、障害のある人と一緒に新しい仕事や働き方をつくる提案を全国各地で行っているのですが、それぞれの土地の手仕事の魅力に気付いて。障害のある人が伝統工芸の世界とリンクできる可能性を感じました。リサーチでは、沖縄の銀細工や紅型、京都の和ろうそくなど、全国各地ですでに実践されている団体を訪問しました。

障害のある人の手仕事と伝統工芸の世界、どこに接点を見出しましたか?

リリサーチの中で、伝統工芸の世界が変わろうとしている、ということをいろいろな場面で聞く機会があったんですね。職人さんの高齢化による技術継承の問題や、私も含めた生活者側のニーズが少なくなってきていることなど。伝統を今の生活とフィットさせるところに課題がある。そこで、工芸の世界でも若手の作家を中心に現代の生活にあったモノの提案や、それらを魅力的に紹介する場づくり、伝え手たちによる交流が生まれていることを知りました。

障害のある人の手仕事も同様にアウトプットがない?

さまざまな工夫をしてモノをつくることはできる、けれど作ったモノを伝えていくことが難しい。どこの福祉施設も同じような問題を抱えているとは思います。そこで伝統工芸の分野で使われている素材や技法を取り入れることで、ふだんの手仕事を深めたり、価値を高めることができるんじゃないか、と。伝統をそのまま受け継ぐ、ということではなく、逆に障害のある人の手仕事が伝統工芸の世界に新しい提案ができるかもしれない。お互いに発展していきませんか?というプロジェクトなんです。

実例としてはどんなものを制作されましたか?

これまで張り子を作っているのですが、郷土玩具が持つ“ゆるかわ”系のテイストを出すのは、障害のある人の得意な分野だと思うし、すごく可能性があると考えています。東北や九州の郷土玩具に関わる人たちとの交流も生まれています。福岡の久留米絣の技術を伝える「現代風もんぺ」とのコラボレーションも実現しました。一方で、伝統をリスペクトし、技術を身に付けることも大事だと思います。リサーチでは、伝統の技法を受け継ぎながら、作り手に合わせて工夫をしている事例も多くありました。

2020年3月にGood Job!センター香芝で行われた『東北・奈良・九州の郷土玩具〜出張MUTO&津屋崎人形』写真/衣笠名津美
2020年3月にGood Job!センター香芝で行われた『もんぺ博』写真/衣笠名津美

2020年3月にGood Job!センター香芝で行われた『東北・奈良・九州の郷土玩具〜出張MUTO&津屋崎人形』と『もんぺ博』。 写真/衣笠名津美

NEW TRADITIONAL」の課題、そして今後の目標を教えてください。

今回のリサーチで見えてきた課題は、伝統工芸を通して手仕事で作ったものをどう伝えていくのか? それに現在のライフスタイルの中で、どう提案していくか?というところです。最終的な目標は、伝統工芸のものづくりの流れの中で、障害のある人が一部分だけ関わるだけではなく、一緒に新しい価値として提案することです。障害のある人が日常で作ったものがアートの世界で認められることはよくあります。ものづくりの世界でも関わる人それぞれが、自分が価値あるものを作っていて、それが誰かに届いている、ということを実感できるような、ものづくりの循環が生み出せたら、と考えています。

写真/西岡潔

PROFILE

事業団体について
一般財団法人たんぽぽの家

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NEW TRADITIONAL:障害のある人の表現と伝統工芸の相互発展

「NEW TRADITIONARL」は、障害のある人の創造性と、伝統工芸のもつ技術や美意識を融合させることで、互いが化学反応をおこし、それぞれの分野を超えて新しい価値を作り出すプロジェクトです。現在、障害者福祉の世界では、障害のある人の賃金が低く仕事の選択肢が少ないといった課題があります。いっぽうで伝統工芸の世界では、価値観の多様化にともない、製品に対するのニーズが低くなったり後継者不足や発信(販売)先の見直しを余儀なくされるなどの課題があります。これらの課題を創造的に解決することをめざし、未来に向けて具体的目標を立て取り組み始めました。
わたしたち たんぽぽの家は、本プロジェクトを「Good Job!プロジェクト」が目指す、福祉と新しいものづくり、仕事づくりが出会う場づくりの展開として位置付けています。

住所:奈良県奈良市六条西3-25-4
電話番号:0742-43-7055
FAX:0742-49-5501
メール:tanpopo@popo.or.jp
WEB:https://tanpoponoye.org

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