障害児の中でも特に外出や芸術鑑賞の機会が少ない重度の知的障害、肢体不自由が重複している子どもを対象とした多感覚演劇作品『ちいさなうみ』が、仙台市内の医療型障害児入所施設で上演されました。
事前に施設の方との綿密な打ち合わせをし、参加する障害児の苦手な感覚などを考慮することで、一人ひとりが楽しめる内容となっていました。
参加した障害児の保護者と、施設の方に感想をお聞きしました。
「普通の演劇にはない距離感(近く)で、視覚だけでなく五感を通して感じるものになっていました。チンアナゴに見立てたチューブを使って耳元で囁く演出では、耳元にいるわけではないけど、声が聞こえたり、吐息の温度を感じたりという不思議な感覚があって、大人でも楽しめました。障害児って、演劇演出のための大きな音や光の強弱が苦手なんですけど、今回は一つ一つの演出が派手ではなく低刺激だったので、障害児にも楽しめる範囲でした。観ているというよりは、一緒に遊んでいる気分になりました。」
「今まで演劇鑑賞には連れていってあげられなかったので、初めて体験させてあげることができました。上演時間が30分程度と短かったので見続けられたんだと思います。最初は少し緊張して観ているようでしたが、演者さんが一人一人の側に寄ってきてくれるから、一緒に参加しているような気になって、後半になるほど緊張も解けていました。指定座席で鑑賞する感じではないので、子どもが緊張していたらすぐに声もかけてあげられますしね。いつも過ごしている場所に上演しに来てくれるので、リラックスしながら楽しむことができたと思います。」
「演劇はもちろん、楽器の生演奏を聴くことも、障害児にとっては貴重な体験だったと思います。今日は来られなかった施設利用者の方たちもいるので、もっと色々な人に見てもらいたいです。公共施設では鑑賞自体をさせてもらえないこともあるので、こういった体験をチャレンジさせてあげるのはなかなか難しいんですが、自分たちの施設でやる分には鑑賞中に障害児が声を出しても気にする人はいないですし、またやってもらいたいです。」
演劇を始め、映画やプラネタリウムなど、あらゆる芸術鑑賞へのハードルがいくつもあり、なかなか挑戦できない重度心身障害児たちにとって、初めて味わう芸術体験となりました。
PROFILE
事業団体について
NPO法人アートワークショップすんぷちょ
多感覚演劇「ちいさなうみ」
じっとしていられない、初めての物や人に会うことが不安、感覚が過敏、視力や聴覚に障害がある、自力で移動することができないなど、様々な障害を持つ子どもにとって劇場で従来の演劇を鑑賞する経験は時に様々なハードルがある。この事業では子ども達の五感を刺激することで深い演劇体験を提供する「多感覚演劇」を創作、上演する。1回の公演の観客は6組と少人数で、3~4人の役者が丁寧で相互的な関わり合い方をしたり、先が見通せないことに大きな不安を抱く自閉症スペクトラムの子どもたちには、作品の内容を事前に知ることができるハンドブックを用意する。
住所:宮城県仙台市太白区八木山弥生町12-3
電話番号:070-5017-5904
WEB:http://www.sun-pucho.com
