石川県立ろう学校等と連携しろう者や難聴者の目線で美術館までのアクセスや美術館での過ごし方について、手話や字幕を用いて普及促進する取り組み「聴覚障害者の美術館へのアクセシビリティを高めるためのプロジェクト」を行う金沢芸術創造財団(詳しくはこちら)金沢21世紀美術館でのその活動について、どのような成果が見えたのか具体的にアンケートで伺いました。
今回の事業内容の中で、貴団体にとって、新しい取り組みはありましたか?
9月23日の「手話言語の国際デー」に、ろう者と共同で企画を実施しました。
石川県立ろう学校と半年に渡って活動を共にしました。
夏休み期間を含めた部活動の一環として文化部生徒(中高生3名)と共に準備を進めました。その結果、生徒がお客様を迎える進行役としての意識と主体性を高めて行いました。
今回の事業の中で貴団体のもつ特性は活かせましたか?
既存プログラムを通した学校との信頼関係を活かしました。
2006年以来、石川県立ろう学校は金沢市内で学ぶ小学4年生を対象とする当館主催の作品鑑賞プログラムへ毎年参加しています。また中学部と高等部は学校行事で2年に1度来館しています。生徒と先生双方にとって当館は「来たことがある場所」であり、「美術館でどのように過ごすか」「どんな作品を見るか」など、具体的な話題から準備を始めることができました。
開かれた美術館のために手話を使った美術ガイドに石川県ろう学校の生徒さんと共に取り組む様子。
信頼関係を活かすことでさらにこんなことができそうだ、など夢の話(個人的な理想でも可)でも結構ですので、あれば、それはどんなことか教えてください。
既存プログラムの応用
夏休みに小学校の団体向けに実施している鑑賞・造形プログラムへろう学校の生徒が参加しました。作品を見て感じたことや気づいたことを話し合う経験と、作家の世界観を追体験する造形活動を通じて、作品鑑賞会に向けた手がかりを増やしていきました。
小学4年生との対話型作品鑑賞をしているボランティアの有志がリハーサルに参加者役として協力しました。生徒たちは初対面の大人と過ごしながら、自己紹介や作品の感想発表、意見交換など、手話通訳者を交えた進行など、活動の流れを体得していきました。この経験は生徒だけでなく、参加したボランティアにも「いつもとは違う作品鑑賞体験」となりました。
作品観賞後に手話で感想を言い合う会も催されました。
回答ご担当者様個人としてお答えいただければと思いますが、活動を通して、考え方への変化、日常に対する変化などがあれば教えてください。
自分が芸術鑑賞する際、情報保障について考えるようになりました。
(例)コンサートへ行った時に、歌詞の字幕があれば生演奏の迫力や振動とあわせて、ろう者も楽しめるかな?と思いました。
当館では、社会包摂事業を総称して「みんなの美術館 みんなと美術館」と題し、英訳は「A Museum For All, and With All」としています。具体的なプログラムを考える時に、これはforかwithか、みんなのためにか、みんなと共になのか、目的意識が明確になりました。
先の未来にこの課題に取り組みたい、また、こういったことができればいいなと思うことはなんでしょう?
【できたらいいこと】
手話言語の国際デーに県立ろう学校との活動を継続・発展すること。
手話言語や要約筆記が美術館主催の関連プログラムで恒常的に情報保障として提示されること。
美術館の中で実際にろう学校の生徒さんと共に美術鑑賞の仕方などの模索も行う。
PROFILE
事業団体について
金沢21世紀美術館[公益財団法人 金沢芸術創造財団]
「誰にとっても来館しやすい、楽しい美術館はどんな場所?」
〜聴覚障害者と共に紹介する金沢21世紀美術館〜
本事業は「聴覚障害者の美術館へのアクセシビリティを高める」ことを目的に実施する。
聞こえない、あるいは聞こえにくい児童生徒が学ぶ石川県立ろう学校と美術館が連携し、ろう学校における日本手話と日本語の習得、そして地域学習といった学習プロセスを参考としながら、美術館における作品鑑賞や美術館の楽しみ方を共に考え、企画として実現する。
特別支援学校の生徒にとって、美術館を「自分が作品を見る」場所として限定的に捉えるのではなく、自分が美術館について「発信する」「社会や地域の人たちとつながる場所」として認識できる機会とする。
誰にとっても来館しやすく、楽しみをみつけることができる美術館とはどのような場所なのか。
金沢21世紀美術館は、このテーマについて地域の人々と共有し、ともに行動していく。
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2811
MAIL:event_k@kanazawa21.jp
WEB:https://www.kanazawa21.jp
