特定非営利活動法人アートステージ空知写真

クリエイティブ・アート実行委員会

“いいプロセスがあれば、いいプロダクトができる”

クリエイティブ・アート実行委員会は、東京・北区にあるレジデンススペース[ココキタ]を拠点に、障害のある人・ない人も共に楽しめる「絵画・造形ワークショップ」を行なっています。今回の事業では、地方でのワークショップ開催に伴い、講師側の「ファシリテーター育成」も目的の一つ。そんなプロジェクトについて詳しく伺ってきました。
左から、クリエイティブアート実行委員会の事務局長・伊地知裕子さんと、ワークショップの講師である西村陽平さん

ワークショップの活動は、以前から行われていたのでしょうか?

伊地知「そうですね。西村先生は盲学校で美術を教えられていたので、視覚障害のある方、そして、ない方も対象にした「視覚を超える造形ワークショップ」を月1回のペースで1992年から1998年まで7年間、続けていました。その後、単発的には行っていたんですが、作品制作というのは、やはり継続的に行わないと作品にならないのだとわかってきて。そんな時に、[ココキタ]がレジデンススペースとして借りられることになり、視覚障害の方だけでなく、知的障害の方も一緒に参加できる場を始めてみよう、と」

ワークショップの具体的な内容についてお聞きしたいです。

西村「平面作品と立体作品の2つのワークショップがあります。平面では、20世紀前半から始まった「モダンテクニック(偶然にできた色や形を使って表現をする絵画の技法など)」と呼ばれる、抽象的な表現方法を基本にしていますね。造形では粘土を使って作品を作ります。参加者には、視覚障害の方もいらっしゃいますが、多くは知的障害であったり聴覚障害の方ですね。あらゆる障害の方が来られて、年齢層も4歳から80歳代までととても幅広いんです」

立体作品では、大量の粘土を使っている。奥の人物の作品は、自閉症の参加者が作ったもので、頭に40kg、身体には40kgもの粘土が!

立体作品では、大量の粘土を使っている。奥の人物の作品は、自閉症の参加者が作ったもので、頭に40kg、身体には40kgもの粘土が!

今回の事業で、地方でのワークショップ開催のみならず、講師となる「ファシリテーター」を育てるという目的を定めたのはなぜでしょうか?

西村「現在、“障害のある方を対象とした美術教育”という分野は、教員養成課程のカリキュラムに入っていません。例えば、特別支援学校に勤めている方で、美術大学を卒業して免許を持っている先生であっても、“障害のある方の美術”について学んだことはない。でも、現場ではやらなければいけません。そういった方達のために開催しました。実際には、福祉施設の方や、美術教員免許を持つ作家などが、障害のある人に対してどのようなことができるのかを学びに来られています。ファシリテーター育成では、実際にワークショップに一緒に参加してもらい、まずは接していく中で学びます。その後、一時間半ほど、ファシリテーターとして参加された皆さんで話し合いの場を設けます。その日に、なぜ私がこんなことをしたのかを、ひとつずつ説明していくんです。障害のある方は、ひとりずつみんな違うわけですよ。子どももいるし、大人もいるわけなので、それぞれの方向性を伝えています」

事務局長・伊地知裕子さん

伊地知「参加者の方々が先生と一緒にずっと作品制作していると、その人のテイストが残りながらも、おもしろい作品になっていくんですよ。それを見ると、ファシリテーターのアーティストとしての感性、教育者としての力量が、参加者の作品に力を与えるのだなと思います。先生のように盲学校で教えた経験、幼児に教えた経験があって自分もアーティストだという方は、あまりいらっしゃらないと思います。けれど、多様な人達と美術をやっていくためには、そんなファシリテーターという存在がいないと広がらないと思いますね」

[ココキタ]での展示風景。「いいプロダクトを作ると、そのプロセスにも興味をもってもらえる。だから、作るだけではなく展覧会できちんと見せることも必要だと思います」と、伊地知さん。
[ココキタ]での展示風景。「いいプロダクトを作ると、そのプロセスにも興味をもってもらえる。だから、作るだけではなく展覧会できちんと見せることも必要だと思います」と、伊地知さん。

[ココキタ]での展示風景。「いいプロダクトを作ると、そのプロセスにも興味をもってもらえる。だから、作るだけではなく展覧会できちんと見せることも必要だと思います」と、伊地知さん。

当プロジェクトの、今後の展望について教えてださい。

伊地知「今回、初めて地方で展開してみましたが、この活動のニーズの高さを実感しました。東京だと、美術館などでアーティストのワークショップが行われているけれど、地方では、特に障害がある人たちとの表現活動に関しては、やっているところがまだまだ少ないんです。なので、地方へ発信していく活動にも力を入れたいんですが、人手が足りなくて。その部分を拡充できればいいなという部分はありますね。
あと最終的には、コミュニティアートセンターをつくれたらと思っているんです。美術だけではなく、音楽やダンスといった表現を、子ども達、障害者の方、高齢者の方も含めて、誰もが参加して自分たちの表現を発信していけるような場所。そういった場に、ファシリテーションを学びたい人たちが来るとか。そんな総合的なスペースをつくっていきたいです」

PROFILE

事業団体について
クリエイティブ・アート実行委員会

クリエイティブ・アート実行委員会

多様性を育む美術プロジェクト
―障害のある人達との美術創造活動&ファシリテーションの方法を学ぶワークショップ

障害を持つ人達と障害のない人達、幼児から大人までが、お互いの創造性を触発しながら、作品制作に焦点を絞り、展覧会を行おうとする美術プロジェクトです。同時に障害のある人達の独自の創造性を活かして作品制作を行うため、ファシリテーターが、何を現場で行っていくことが必要なのかを学ぶワークショップとなります。講師は、現代美術作家でもあり、千葉盲学校で視覚障害児との美術活動をされ、日本女子大学児童学科で児童の美術活動を実践されてきた西村陽平氏です。
①絵画(現代アートのさまざまな技法で絵を描く)
②造形(一人20kgの土粘土で自分の内から生まれる表現を追求する)
③地方美術館へ出張ワークショップ
④作品の展覧会開催

住所:東京都港区赤坂6-2-5方栄ビル201
電話番号:03-6426-5182
メール:musekk@aol.com
WEB:http://www.musekk.co.jp

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