「声の力」プロジェクトと題して、視覚障害者に、声で演技をする体験を通じて、自身の可能性を再発見してもらうことを目指す。そんな活動を2019年行ってきた朝日新聞社に、本事業を通して実感したこと、参加した当事者たちの反応を通して、これまで、そしてこれからの展望についてアンケートにてお答えいただきました。
貴団体にとって今回の取り組みの中で、初となる試みはありますでしょうか?
プロの声優を講師とし、全国の盲学校で出張授業を行うという取組そのものが、当社にとって新しい試みでした。
そのチャレンジの結果、発見はありましたか? また、課題など、見えたことがあれば教えてください。
盲学校の中で、特に地方の学校は重複障害の子どもが多く在籍しており、視覚障害だけでなく知的障害もある子どもたちへのアプローチとして、声の表現という手法は有効であることが分かりました。
また、障害のある子どもたちは、自分の可能性を広げるきっかけが、障害のない子どもたちと比較し圧倒的に少ないことが分かりました。そのため、地方の学校に直接訪ねて授業を行うということのニーズが高く、子どもたちの可能性を広げるきっかけづくりのため、今後はより多くの学校で授業を行えればと思っております。
声優の先生の出張授業の様子。初めての体験に生徒さんの顔にも笑顔が溢れる。
今回の事業の中で貴団体のもつ特性を活かした取り組みはありましたか?
教育現場での出張授業のスキームは以前からありました。また教育関係者との太いパイプがあり、筑波大学付属特別支援学校をはじめ、全国の盲学校に声がけし、のべ5回の特別授業を行うことができました。
また、雑誌「声優グランプリ」及び青二プロダクションという声優業界の第一人者とのつながりを最大限に活用し、第一線で活躍する声優を講師として招いたことで、盲学校の生徒たちに質の高い授業を提供することができました。
悩みながらも声優の先生の問いかけに思いを巡らす生徒たち。
子どもたちの反応はいかがでしたか? 子どもたちとの具体的なエピソードがあれば、教えてください。
誰もが知るアニメのキャラクターの声を務める人気声優さんが学校を訪れたので、生徒さんたちは大興奮でした。なかには、「夢のような体験だったと」感想を寄せてくれた生徒さんもいらっしゃいました。
また、自分の気持ちを声で相手の心に響かせるという指導は、生徒にとっても難しくもとても印象的かつ有効な授業だったと感じております。
回答ご担当者様個人としてお答えいただければと思いますが、活動を通して、考え方への変化、日常に対する変化などがあれば教えてください。
視覚障害について、まったく何も知らないところからスタートしたため、すべてが学び・発見でした。視覚障害といっても、見えない・見えにくい・光に弱い等、見え方は人それぞれであることや、普段どうやって情報を得ているか等、一から学びました。彼らの使っている点字も理解できるようになりたいと感じ、こつこつ点字の勉強も始めました。
同じ日常を過ごしているのに、視覚障害者と障害のない人が交流する機会がほとんどなかった社会を再認識し、インクルーシブな社会に変革させるため、本プロジェクトを通じて貢献したいと思っております。
点字の教材を使うだけでなく、事業者側も一から点字を学びプロジェクトを有意義なものにと取り組んだ。
先の未来にこの課題に取り組みたい、また、こういったことができればいいなと思うことはなんでしょう?
今年度、筑波大付属視覚特別支援学校との連携を密にし、授業2回と合宿を行い、その成果であるラジオドラマを文化放送で実際に放送することができました。実施主体である当社が都内にあるということもあり、どうしても都内の学校での取組が手厚くなってしまう点は課題だと感じています。来年度は特に地方の学校に多く訪問したいと考えていますが、授業開催だけでなく、授業で学んだ生徒たちの成果を、対外的に発表する機会を増やすことも検討したいです。社会に何らかのアクションを起こせたという達成感を、多くの生徒に感じてもらいたい。
また、未来の夢としては、海外の視覚障害のある子どもとの交流がある。具体的な方法等は落とし込めていませんが、視覚障害児の世界を広げるという点で、国際交流はぜひ挑戦してみたい。
PROCESS
制作スケジュール5-7月
関係者との企画内容調整・学校側との調整
(筑波大学付属特別支援学校をはじめ)
7-12月
全国の盲学校での特別授業
(第一線で活躍する声優による授業)
1月-
都内でのインクルーシブ合宿
2月-
ラジオドラマ放送
3月-
シンポジウム開催
(文化放送にて)
PROFILE
事業団体について
株式会社朝日新聞社
声の力プロジェクト
視覚障害のある高校生たちが、声による表現方法を学ぶことで、自身の可能性を広げることを第一目的とするプロジェクト。大きく3つの実施事項がある。
• 特別出張授業:プロの声優が各地の視覚特別支援学校で特別授業を行い、発声法や腹式呼吸の練習から台本読みまで、声優の基礎体験をしてもらう。
• インクルーシブ合宿:都内の視覚特別支援学校生徒と普通科高校生徒が合同で2泊3日の合宿に参加し、ひとつのラジオドラマを共同制作する。
• シンポジウム:出張授業と合宿の成果報告を兼ねたシンポジウムを都内で開催。今年度の取り組みの成果と課題を話し合い、次年度へとつなげる。
http://www.asahi.com/dialog/voice-power/
住所:東京都中央区築地5-3-2
電話番号:03-3545-0131
WEB:https://www.asahi.com/corporate/
