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特定非営利法人エイブル・アート・ジャパン

“聴覚障害者が美術館をもっと楽しめる環境をつくりたい”

美術館における聴覚障害者の鑑賞環境整備事業として、インタープリター、つまり手話通訳者を育成するそんなプロジェクトを立ち上げた特定非営利活動法人 エイブル・アート・ジャパン。脆弱な聴覚障害者の美術鑑賞の環境整備に取り組む上で、今年1年の成果、また、課題、そして、今後にむけて活動をどのように継続させていくのか、アンケートで聞いてみました。

今回の事業内容の中で、貴団体として新しく取り組んだことはありますか?

聴覚障害者の美術館利用に関して取り組み実績のあるキーパーソンを、美術館学芸員、聴覚障害者、手話通訳者それぞれの分野から会議に招聘することで、共通の課題を抱える関係者間の新しいネットワークを構築したことです。

この新しいネットワークに期待することはどのようなことでしょう? 具体的な課題解決に向けて、エピソードなど今後の夢でも結構ですので、具体的に教えてください。

新しく構築できたネットワークを活かして、課題である「美術館における手話通訳養成講座」を作成しつつあります。この取り組みの中から講座の講師になっていただく人がいたり、実地講座を行う際に美術館を提供していただける可能性が出てきました。
また、今回関わってくださっている方々をキーパーソンとして、美術館、手話通訳、聴覚障害者、それぞれのコミュニティに「手話通訳養成講座」の意義や実際の講座を開く際の広報に協力していただくことが可能になりました。

今回の事業の中で貴団体のもつ特性を活かせましたか?

障害とアートに関わる中間支援組織として1994年以来長年活動していることに加え、2011年発足の「美術と手話プロジェクト」の実績とネットワークを生かし、美術館、聴覚障害者、手話通訳者、それぞれ第一線の実践者を招聘し会議を開いています。また、それぞれの立場によって異なる問題や課題を調整し、それらを横断的に反映させた多面的なプログラムの構築に取り組んでいます。

横断的に反映させたプログラムとありますが、具体的に教えてください。

これまで、美術館の学芸員、手話通訳者、聴覚障害者の三者は、美術館における手話通訳をはじめ、聴覚障害者の美術館利用について、相互に情報交換を行うことは少なく、それぞれの取り組みや課題が共有されにくい状況が続いていました。「美術と手話プロジェクト」として活動を行うことで、それぞれの立場を考慮した鑑賞環境の提案を行ったり、美術館からの依頼を受けて、それぞれのニーズに合った新しい鑑賞プログラムを企画・立案・実施する機会が増えています。具体的なプログラム例は、以下のようなものです。
(例)
・手話通訳付きギャラリートーク、講演会
・作品を鑑賞して参加者が協働して作品を表す手話を試作するワークショップ
・口話も手話も使わずに、筆談で鑑賞するプログラム など

ご担当者様個人としてお答えいただければと思いますが、活動を通して、考え方への変化、日常に対する変化などがあれば教えてください。

「言語としての手話」や「ろう文化」について、いつも新しい発見があります。日本手話、日本語対応手話、その中間(グラデーション)といった一人ひとりの違い(人間の多様性)に気付かされています。

先の未来にこの課題に取り組みたい、また、こういったことができればいいなと思うことはなんでしょう?

今後実施したい事業は、現在作成している「手話通訳養成プログラム」を用いて、「手話通訳養成講座」を開催することです。それによって美術館で活躍する手話通訳者が増え、聴覚障害者の鑑賞環境が豊かになることを目指します。
また、その更に先には、聴覚障害者自身が美術館で作品を解説する「ろうガイド」の育成を行い、美術館で活躍する聴覚障害者が増えることも目指したいです。

PROCESS

制作スケジュール

11-12月

美術館における聴覚障害者の利用に関する
課題抽出会議

1-3月

美術館における手話通訳者養成プログラム
開発会議

PROFILE

事業団体について
エイブル・アート・ジャパン プロフィール写真

特定非営利法人エイブル・アート・ジャパン

美術館における聴覚障害者の鑑賞環境整備事業

美術館における手話通訳者養成プログラムの開発を行う。
1. 美術鑑賞に興味があり実際に鑑賞経験を重ねている聴覚障害者、美術館での経験を有する手話通訳者、聴覚障害者の鑑賞プログラムの実践経験のある学芸員からなる「課題抽出会議」を2回実施する。この会議により、聴覚障害者、美術館、手話通訳者のそれぞれが抱えている課題や問題点、理想とする鑑賞のあり方、相互に期待するものなどを明確にし整理する。
2.課題抽出会議で明らかになった課題や問題点を踏まえ、「美術館における手話通訳者養成プログラム開発会議」を4回実施する。この会議を通じて、美術と美術館に関する知識や、鑑賞の現場で必要な知識の共有と整理、さらには専門用語の手話の整理や新しい手話の検討なども行う。これらの取り組みを通して、美術館で活躍する手話通訳者の養成プログラムの開発をめざす。さらに、より高いレベルで通訳できる環境を整えるための指針の策定や環境整備なども並行して行う。

住所:東京都千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331 #208
電話番号:03-5812-4622
WEB:http://www.ableart.org

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